有名大学考その2

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 No.41 木村智彦 平成24年度公式メッセージ

 9月29日のブログに続いて「有名大学考」を考察する。「その1」において論述したように日本の大学は明治維新後極めて早いスピードで国立大学を中心として大学教育の基礎が固められてきた。

 「6つの旧帝国大学」を頂点に次が「11官立大学」「そして8つの医科専門大学」がリードしてきた歴史的背景があると述べた。これらは間違いなく有名大学である。これらの大学は明確な「国家デザイン」に基づいて創立された。

 驚くのは以上合計25の国立大学を日本地図の上にプロットすれば「明治時代の国つくりの壮大な意図」が手に取るように分かる。「明治人は本当に偉いわー。」と感じる。まさに「坂の上の雲」なのである。

 しかしながら25官立大学と言っても実際は東大を頂点とする旧帝国大学が圧倒的なポジションを確保しており、敢て言えば旧帝大は「超有名大学」と定義した方が良い。6帝大を除いた19の地方国立大学は後述する急増した新制大学の余波に飲み込まれて中には徐々に有名大学とは言い難い運命をたどることとなった。

 戦後の「新制大学」として1949年5月の学制改革により「雨後の竹の子」の如く大学が出現した。ジャーナリストの大宅壮一さんはこれらの大学を「駅弁大学」と称した。「強烈な表現」である。この「たった一言」が地方の国立大学の命運を左右したと私は思う。かかる如く言葉というものは霊を有して社会的運命をも左右するのである。

 要は「国鉄の急行停車駅ごとに大学がある」ということである。実際の表現は「急行の停まるところに駅弁有り、駅弁あるところに新制大学有り」という事だったらしいが、この表現は高校の生徒に大きな影響を与えた。即ち「地元の駅弁でも出て、デモシカ教師にでもなって気楽な一生を過ごすのさ」が当時の社会的風潮にもなったのである。

 今でこそこのような駅弁大学という表現は余り聞かず、高校の進路指導では「地方国立大学」という表現を使う。当然地方の専門学校を大学に格上げしたわけだから言ってみれば「ハイパーインフレ」で「大学の質の問題」が大きく喧伝されるようになるのは当然の帰結であった。

 と同時にこの頃から都心の私立大学が頭角を現してきたこともあって「無個性の地方大学」よりも「花の東京」の私立大学という選択肢が出て来たのだと思う。現象としては国立大学の併願先に都会の有名私立大学が選択されるようになった。背景は「大学進学率の急上昇」にある。

 このように国立大学と言えども有名大学とは言い難くなり、個性のない地方の大学という暗いイメージがついて回ることになった。今日的高校生はどちらかというと地方の国立大学なら都会の私立大学を志向するという現象が顕著になってきたのである。

 話を「50年前の有名大学が今でも何故有名大学のままでいられるのか」というテーマに戻ろう。キーワードに「科学研究費補助金」というのがある。国即ち文部科学省から国立大学に支給される補助金と有名大学ブランドの維持には何か関係がないのかという疑問である。

 これについて倉持史記氏は大学プロヂューサー・ノートというネット上の論文に「50年前から変わらない国立大学の序列」として意見を発表している。私の探し求めている答えがあったのである。世の中には素晴らしい人は多くいるものだと私は今更ながら感心した。

 1 東京大学、2 京都大学、3 東北大学、4 大阪大学、5 九州大学、6 北海道大学 7 名古屋大学、8 筑波大学、9 広島大学、10 東京工業大学、11 神戸大学、12 岡山大学 13 慶應義塾大学、14 千葉大学、15 早稲田大学、16 新潟大学、17 独立行政法人理化学研究所、18 金沢大学、19 徳島大学、20 長崎大学、21 熊本大学、22 東京医科歯科大学, 23 日本大学、24 大阪市立大学、25 信州大学、26 山口大学、27 首都大学東京、28 群馬大学、29 鹿児島大学、30 岐阜大学、※採択件数順

 以上は平成17年度の科研費を多く支給されている大学研究機関トップ30の序列である。赤が旧帝大、青が旧官立11大学、オレンジが旧8医科大学であり、これらすべてがトップ30の中に入っている。実際は件数の採択率順位であるが金額順と考えて良いそうだ。

 即ち昔からの有名大学は国から「特別扱い」されてその地位をキープしているのである。50年間変わっていないと言うから空恐ろしい。文部科学省の護送船団として国立25大学は国によって予算も教授陣も「おんぶにだっこ」で護られてきたと言える。

 前述の倉持さんは言う。硬直化した補助金の支給ではなくて「もっと競争を促す」やり方があって良いと言われていた。全くその通りである。しかし国立大学間では逆説的に言えば競争してはならなかったのである。「東大を頂点としてヒエラルヒーがある方が大学の教育行政としてはやり易かった」のではないかと私は思う。

 例えば2001年文科省の定めた「トップ30大学」であるがその時の序列は以下のようなものであった。ここにも国立25大学は序列が歴然としている。
1. 東京大学 2.京都大学 3.大阪大学 4.東京工業大学 5.東北大学
6.慶応義塾大学 7.九州大学 8.名古屋大学 9.北海道大学 10.筑波大学
11.神戸大学 12.千葉大学 13.早稲田大学 14.広島大学
15.金沢大学 16.岡山大学 17.東京理科大学 18.東京都立大学
19.東京医科歯科大学 20.大阪市立大学 21.新潟大学 22.熊本大学
23.徳島大学 24.大阪府立大学 25.岐阜大学 26.東京農工大学
27.横浜国立大学 28.山口大学 29.名古屋市立大学 30.鹿児島大学

 大学ランキングデータは山のようにある。まったく根拠のないいい加減なものもあるが誰もが日本の大学の序列に関心があることが分かる。従って何時もその季節となると週刊誌は大学合格一覧表を特集する。

 少なくともそのランキングの上位に位置しておかないと有名大学とは言っては貰えない。しかしその有名大学は実は文部科学省と東大を頂点としての護送船団の中にあり、予算も人材も偏差値の高い高校生も戦略的に組み入れられ最早どうしようもない硬直した序列の中で生きているのである。

 東大の国家公務員たる教授陣をすべて地方の国立大学に転勤させ、予算はふんだんに付け、地方の偏差値70前後の高校生をその大学に強制的に回したらまさに「一夜にして」その名も無き駅弁大学は超有名大学に変身するだろう。

 それが出来ないから「50年前の有名大学は何時まで経っても有名大学」なのではあるまいか。今後ともこの傾向は変わらないと思う。「類は友を呼ぶ」ではないが大学には究極の知能レベルの差があるからだ。しかし人はその事を知っていても絶対に口に出しては言わない。

 従って表現としては「入学難易度」とか「入学偏差値」とかで大学の序列を暗黙で承知している。ここに国公立・私立大学の序列のデータがあるが、このようなものは様々なものがある。評価する機関、人によって千差万別である。しかし一方ではこれらを知らねば生徒の進路指導はできないことも事実である。

 しかしこういうものをブログに書けば中には当然面白くはない、不快に感じる人もいる。だからこそ逆に週刊誌やネットで面白おかしく書かれるのだろうが、高等学校の校長が書くのも実際「嫌なもの」だ。従ってこれ以上は書かないことにする。

日本の大学ランキング2012】文理総合 医歯薬系・芸術音楽系は除く
*一部有名大学のみ抜粋  国公立文系は偏差値+2 国公立理系は偏差値+4
以下省略する。

 
 

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