令和6年度入学式 式辞

[浪速高等学校・浪速中学校合同入学式] 理事長・学院長式辞
令和6年度入学式                   令和6年4月5日(金)
            理事長・学院長 式辞全文
                                木村智彦
1.冒頭の言葉  
先ほど浪速高等学校新入学生966名は飯田校長先生から、又浪速中学校の新入学生141名は西田校長先生から入学を許可されました。平成の世に生まれ、順調に育ってきた君たちは「新たな学びの為に」令和6年4月5日の本日、学院神社前の桜の大木が君たちの入学を待っていたかのように花びらを満開に付けたこの佳き日、学校法人浪速学院浪速高等学校、浪速中学校に入学されました。希望に萌える君たち、素晴らしい若者を迎えて、中高の合同入学式を挙行できることは、大変嬉しく頼もしく思います。皆さんを心から「歓迎」致します。浪速高等学校966名、浪速中学校141名合計1107名の皆さんの新たな出発に際しこの二つの学校の設置責任者、中高の「教育課程」に全責任を負う立場でお祝いの言葉を申し述べます。

*ご来賓に対してお礼の言葉   PTA会長坂中会長様以下役員の皆様
 
2.まず保護者へのお慶びの言葉
・保護者の皆様、さぞお慶びのことと推察申し上げます。大切なお子さまを本学院にお預け頂き有り難く御礼申し上げます。多くある私立、公立の中・高の中で本校をご選択頂きました。私どもは皆さまの大切なお子様を今日以降、本校で学ぶ生徒として「責任」を持ってお預かり致すことをまずもって言明致します。どうかご安心ください。

・学校と保護者にとって大切なことはあくまで生徒の事を第一に考え、保護者と教職員がスクラムを組んで連携して子供を教え、育むという観点であり、これがPTA組織の原点です。つまり学校運営には信頼し合えるPのペアレンツ・保護者とTのティーチャー・教師との連携が最も重要だと考えます。本校は私立学校であり「私立」というのは「建学の精神」を大切にしながら、特色を持ち、学校と保護者が「共に学校を進化させて創造していくもの」だと思っています。特色のない私立は意味がありません。ここが根本的に公立学校との違いです。

・大阪府が進めた高校授業料完全無償化はこの年度から高校3年生への適用、そして3年かけて順次適用されて行きますが、幾ら授業料が無償化されたと言えども、その学校の教育の中味、在り様が最重要である事は言を待ちません。本校は昨年が900人、今年が966人と言う多くの入学者を得ていますが、単に施設設備が豪華で完備しているだけが本校が選択された理由ではないと思います。「浪速で学ぶ、心を学ぶ、浪速で変わる」事が支持されているのだと私は考えています。今後も私立、公立入り混じって生徒・保護者に支持・評価される高校と、そうでもない高校に2極化していくのかも知れません。

・学校は保護者には全てを伝えていきたいと考えています。保護者も学校からの情報を知る努力が必要です。本校はICT教育先進校として全生徒がクロムブックと言う端末を持ち簡単に情報通信が取れる環境になっています。トラブルがあっても教師と保護者との素早いコミニュケーションで事態がこじれる前に解決が可能です。ポイントはスピードだと思います。本校は「生徒の面倒を徹底的に見る」事を私ども、教職員の合言葉としており、今後とも信頼される浪速教育を目指して頑張って参りますのでどうかご理解とご協力をお願い致します。

・ まず本校では教員による体罰はいかなる理由があろうとも、厳しい処分を前提とした厳罰事項としています。又生徒間の「いじめ問題」にも敏感に反応し対応しています。情報管理も徹底して参ります。学院長として事あるごとに教員や生徒にもこれらの事を「浪速教育の三法」として指導しており体罰といじめのない学校つくりを目指して今後とも頑張って参ります。

3.次に生徒諸君へ  
「入学おめでとう」「大歓迎します」。そして我々は直ぐに君たちが「浪速に入学して良かったな!」と思えるように、教職員一同頑張って参ります。理事長・学院長として「君たちの選択は正解」だと伝えたいと思います。

・入学生の皆さんへ   
まずどのような学校であるか「学校の沿革」から説明をしなければなりません。しっかりと聞いて欲しいと思います。本校は「神社神道の精神を建学のバックボーン」に持つ学校ですが別に神職養成の学校ではありません。殆ど全ての生徒が全国の大学に進学する進学校と言えます。ただ学校行事等には日本文化の原点ともいうべき「神社神道の精神」が色濃く反映されています。即ち「建学の精神」です。皆さんは先ほど、学院神社の神様に今後の学校生活の平穏を祈願しました。「神前奉告」の儀式と言います。今後皆さんはこのような場面を折に触れて経験して行くことになります。

・学校の沿革は、大正12年、4月30日、西暦では1923年、今から丁度101年前の4月30日に、「旧制浪速中学校」として開校されました。そうです。皆さんはくしくも本校開校101年目の入学生になります。次の新たな100年に向かう元年の生徒です。これも「ご縁」だと思います。昨年の4月30日は内外のお客様を多くお迎えし、盛大に開校100周年をお祝いする式典を挙行しました。100年と言う長い伝統を有する大阪を代表する私立学校であり、校訓は「浄明正直(じょうめいせいちょく)」を掲げ、神社神道の教えをそのまま頂き、“清く明るく正しく素直に“を建学の精神としています。

・学校にこれほどのお社がご鎮座されているのは日本広しと言えども本校だけです。先ほど神前奉告と言って6年前に新しくご造営された学院神社大神様の前で中学生の皆さんは6年間、高校生はこれからの3年間の無事と学業の成就を祈願いたしました。学院神社には伊勢神宮の皇祖神たる「天照大御神」を始め大阪府全神社に祀られている神々、皆さんの近所の神社の氏神様など「八百万の神々」がご祭神として祀られています。学問の神様である「菅原道真公・・・天神様」もそのお一人です。人間は畏敬するものを持つことで謙虚になり、心優しい豊かな心が育まれるものです。あなた方は何時も学院神社の大神様に優しく見守られています。

・校章は大正12年5月24日制定されたもので、八咫鏡を形どった八角形の「八葉」と言われる尊い形とされています。今皆さんが身に付けている制服のエンブレムは平成から令和への「御世替り」を記念して更新したものです。日本国の象徴として知られている「三種の神器」モチーフにしたもので、八咫鏡、弥栄の勾玉、天叢雲剣を入れ「八咫烏」を主役に取り入れました。八咫烏(やたがらす、やたのからす)は、日本神話において神武東征(じんむとうせい)の際、初代天皇となられて神武天皇を、熊野国から大和国への道案内をしたとされるカラス(烏)で、一般的に三本足のカラスとして知られ古くよりその姿絵が伝わっています。即ち「導きの神」として信仰されており、「太陽の化身」ともされています。「勝負に勝つ象徴」ともされています。入場の時に流れていた曲は本学院の学院曲であり全8章の内、第3章「御船出(みふなで)」です。日向の地、今の宮崎県の「美々津」という港町を船出した初代神武天皇は苦難にめげず、大和の地を目指して進み日本国を建設されました。今日の皆さんはまさに浪速丸と言う船に乗って船出をしたのです。

・神社神道の学校に入学した誇りと喜びを感じて欲しいと思います。素晴らしい学校に入学した自覚が大切です。今から大切な事を言います。それは浪速中学の生徒はこれから6年間本校で学び、大学に進学します。君たちはこれからは内部生と言われ、先生方の眼が注がれます。高校生となった皆さんに申し上げます。今日からは専願入学も併願入学も関係ありません。君たちは浪速高校へ入学するのが運命だったと考えるのです。貴方方は只今から浪高生・浪中生となりました。

4.本校の精神である神道が教えるところとは

 分かり易く言えば神道の教えとは難しいものではありません。日本文化の理解そのものです。神を敬い祖先の心を受け継ぐ、敢て言えば仏教と違って死後の天国、地獄を考える前に、あくまで「生ある今に集中して一生懸命に生きる」ことだと私は理解しています。後先の事などではなくて、今この時にベストを尽くして悔いのないように今を一生懸命に生きることが一番大切なことだと教えています。そして「敬神崇祖」「神恩感謝」と言って、今ある自分は先祖から繋がり、神様に見守られ、多くの人々のお蔭であるという感謝の気持ちを持つことで有ります。感謝の気持ちが有る故に謙虚になり、「今このときを大切にする」のです。「今を一生懸命に生きると言う言葉が浪速教育の精神」です。思わぬ不幸や曲事、悲しい出来事も社会や他人の責任にしても解決には至りません。与えた試練と考え、耐えて頑張れば必ず道は開ける。耐えて頑張れば必ず事態は好転するということを信じて頑張って欲しいと思います。

5.浪速生としての心構えについて
・本校は常に生徒の事を第一に考え、中学も高校も授業日数を大幅に増やし、さらに特別講習や補習補講、外部模試を徹底的に取り入れ、ICTを駆使して生徒の学力向上を図る高校です。まず「行ける大学から行きたい大学」に行くことを希望し、努力する生徒を徹底的に支援します。そのためのあらゆる手立てを学校は考えています。
従って「学校の授業が極めて大切」です。まず「授業」を大切にする。一こま一こまの授業が重要で、「習熟度別授業」を主体にしています。質の高い授業に真剣に取り組むことで多くのことを得ることが出来ます。従って遅刻をしたり、授業を妨害するなどの行為は厳しいペナルティが待っています。特に高校は義務教育の中学と違ってスピードも速く、又単位を取らねば進級も卒業も出来ません。特にここ数年の大学合格実績は東京大学への現役合格、京大、阪大、北海道大学その他多くの国公立大学、東京六大学や関西の関関同立と言われている有名難関私学へ多くの生徒が合格しています。今年も63人の君たちの先輩が全国の国公立大学に進学しました。関関同立に131人、産近甲龍に381人と、塾や予備校に行かなくても学校内の指導で十分大学進学は可能なのです。

・ 本校は全般に「生活指導」には厳しい学校として聞こえています。特に「いじめ」「ネット問題」「人権問題」「喫煙や飲酒」「化粧や服装」「通学途中の公共マナー」は厳しい指導があります。それも学校の教育だと思っているからです。日本全国どこの高校でも喫煙が許されている学校はありません。特にネットトラブルの炎上などは一生の問題となりかねません。日常の生活規範が乱れていると学業成績にも影響があることを学校の教師は知っています。安易に流れてはいけません。君たちの軽い気持ちの「のり」が一番怖い。「駄目なものは駄目」なのです。一歩手前で「踏みとどまる勇気」が必要です。特に高校生は「浪高生20の約束」を守らねばなりません。それが君たちの為なのです。しっかりと浪高の卒業証書を手にして、次のステップに羽ばたいて行って欲しい。

6.学びの意味

・「何のために勉強するのか」答えは簡単です。「親から自立して生きる力を身に付けるため」です。中学校、高等学校を通してそのための「基礎基本を学ぶということ」です。その結果「正しく考える力、正しい判断力を身につける」ということです。一言で言えば「たくましく、しなやかに生き抜いていく力」を身につけ「自立した頼もしい人間になる」ということだと言っても良いと思います。「生き抜く力はまず基礎基本の教科書にある」と私は信じて疑いません。中学も高校も単なる通過点であり、人間は「生涯学習」が必要です。
・どの教科も多くのことを教えてくれます。皆さんの知識はまだまだとても少ない。大人になって無知とか無教養とか言われることは悲しいことです。中でも君たちが生きていく21世紀は英語が益々重要となってきます。日本語に続く国家の第2言語となってくるでしょう。本校は英語教育を重要視して時間数も多くあります。英語検定の受験も義務化しています。結局「学ぶ」ということは知らないこと、体験していないことを身に付け、考える、判断する力を付ける事です。「学びの意味」は「自分の現状を変え自分の将来の環境を整えることに繋がる」ことになるからです。「自分の将来を自ら作る」ことが学びの目的だと言っても良いでしょう。自分にとって最適な理想の環境を得るためにまず「志」を持ち皆「心を鍛え、体を鍛え、頭を鍛える」。そのために学校はあるということです。学校は「学びの場であり、訓練の場であり、単なる遊びや居場所ではない」ということを忘れてはいけません。君たちは正直言って「伸びきっていない」と思います。それだけにまだまだ「伸びる可能性が高い」と言うことです。努力しだいで中学・高校時代には大きくぐっと成長します。皆さんの可能性は特に大きくどうか自信を持って「努力」をして欲しいと思います。努力をした分だけ我が身に返ってくるということです。

7.付属施設と部活動の奨励

中央館6階にはホテルのレストランみたいな空間が君たちを待っています。焼き立てパンコーナーもあります。8階の図書館からは大阪中が360度のパノラマで見られます。本校は食を大切にしています。又本校は「文武両道」を目指し、「部活動を奨励」し学校として積極的な財政支援も行っています。どうか積極的に部活動に取り組んでください。部活動は大変重要です。私は勉強も部活動の一つと考えています。勉強クラブです。要はバランスの取れた人材が結局社会に出て伸びている。バランスというのは「しなやかで幅の広い人間」だということです。脆くてはいけない。「頼もしい」ということが大切です。

・本校は金剛山の麓、南河内郡千早赤阪村の旧多聞小学校を購入し大改装して校外宿泊学宿施設である「多聞尚学館」を有しています。例年、中高併せて延べ3000人以上の生徒が学校の先生と夜遅くまで徹底的に「学習合宿」をしています。全面的にリニューアルされホテル並みの素晴らしい施設での学習は大きな学力伸長の手助けになります。ここで自分の弱点や勉強の仕方を仲間と同じ食事をしながら切磋琢磨して学ぶのです。他校や塾や予備校さんなどが有していない設備です。早速貴方方はこの多聞尚学館でオリエンテーション合宿に行って貰います。

・ クラブ活動で言えば、堺市の南区には「浪速ふくろうベースボールスタジアム」と名の付く野球専用球場があります。又堺市美原区には広大な敷地の中に、「高天原スポーツキャンパス」と称している広大な土地を有し、そこに3年前にサッカーとラグビー、アメリカンフットボール、陸上競技のトラックを有する「乾坤一擲ドリームフィールド(Kフィールド)」が竣功しました。令和元年には「浪速八咫烏テニスクラブ」が完成して5面もあるコートを既に生徒は使っています。そして2年前にはゴルフ部の為に練習場が完成しました。ここ住吉区の本校地には「浪速武道館」があり、空手道場、弓道,剣道、柔道場、それに雅楽部や茶道部のために40畳もの和室が完成しています。吹奏楽部、雅楽部、神楽部など文化系クラブには特別強化支援クラブとして強化費を支給し支援しています。例えば茶道部や華道部に入部する生徒にはお稽古用のお道具一式を個人にプレゼントしています。このように本校はあらゆるクラブに具体的な支援をしているのはクラブ活動の大きな効果があることを知っているからです。皆さん、出来ればどこかのクラブに入って仲間との楽しみを増やして欲しいと思います。
8.新しい教育の方法
・ そして6年前に完成した新校舎は全館フリーWi-Fiが巡らされて最新鋭の「ICT教育」が完備されています。中学、高校ともには全校生徒がクロムブックと言うタブレット端末を有し、全教室が大きな電子黒板を持つICT化された教室であり、中学はICT教育は高校より先行して実施してきています。新しいE-ラーニングが可能な教室を完備しています。令和2年から進展している新学習指導要領を受けて英語などのICT学習場所などあらゆるところに最新鋭の教育装置が完備しています。
・ 特に4年前から大学入学センター試験が大学入試共通テストに衣替えし、試験問題の中味が大きく変わりつつあります。全ての教科においてです。とにかく新学習指導要領は様変わりと言って良いくらい中身が変わる故に学校の教育も大きく変えて行かねばなりません。25年度からは情報の科目も大学入学共通テストに入る予定です。とにかく学力をしっかりと付けねばなりません。新学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」を標榜しています。これを受け学校は中央館8階の全ての部分を「自学自習の場」として開放しフリーネット空間、ICT,E-ラーニング装置、又オンライン英会話教室も整備しました。特に本校では「クラッシーClassi」という学習支援システムも導入しています。
・又既にお気づきだと思いますが現在地上6階建ての新中学校校舎が建設されており、来年の3月には竣工します。中学1年生の皆さんは揃って中2からは新校舎で学ぶことになります。恐らくその機能と豪華さに皆さんは驚かれることだと思います。楽しみにして待っていてください。
9.2学期からは学校5日制へ移行
・そして既に入学試験前から周知していたように2学期、9月1日からは「学校五日制」に移行します。即ち今までの土曜日の4コマを月金に振り分け1日当たり従来の6コマから7コマにして一日7時限授業になります。時間は50分授業が45分授業となります。そして土曜日の4時限は「アクティブラーニング」として幅広い教育活動に使っていきます。校内での特別講習や予備校や塾の先生方の特別講義、或いはクラブ活動、あるいは大学訪問、あるいは自宅での探求学習など生徒の自主性による柔軟な中身と致します。土曜日は自分流で頑張るとか、講習に参加するとか、自らの不得手な分野の学習に使うとか、大学進学を目指して自分の実力不足の解決の為に使って欲しい。初めての試みで面白い展開になると思います。どうか先生方とタイアップして成功に向かって共に頑張りましょう。
10. 纏め
まとめを申し上げます。今日以降、高校では専願入学も併願入学、内部生も関係ありません。すべては浪速高校で学ぶ仲間であり、浪速中学校で学ぶ仲間です。本校は外部の方々から「挨拶の出来る生徒たち」として大変有名です。挨拶が出来ると言うことは人間性が謙虚で優しい事だと思っています。早く友人を作って皆「仲良く、明るく、元気一杯」に浪速高等学校、浪速中学校生活を楽しんで欲しいと思います。両校長先生以下180名の教職員は皆さんを心から歓迎申し上げ、少し長くなりましたが式辞と致します。8日は始業式で総勢3090名の生徒が登校してきます。君たちの新しい人生が始まります。共に頑張りましょう。